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感染症🐗
感染症🦠 感染症・公衆衛生2026-06-09・約7分で読めます

アフリカ豚熱(ASF)とは — ワクチンがなく致死率が極めて高い家畜伝染病、水際対策の要

アフリカ豚熱(ASF)は豚・イノシシに致死率の極めて高い感染を起こす家畜伝染病で、有効なワクチンが実用化されていないのが最大の特徴です。人には感染しません。原因ウイルスと感染経路、症状、アジアでの拡大と日本の清浄状況、畜産物の持ち込みを止める水際対策と農場バイオセキュリティ、豚熱(CSF)との違いを、一次情報源を示しながら整理します。

文:獣医求人ポスト編集部公開 2026-06-09
目次
  1. アフリカ豚熱とは
  2. 症状
  3. 世界の拡大と日本の状況
  4. 対策 — 水際とバイオセキュリティ
  5. 豚熱(CSF)との違い(要点)
  6. 参考文献・一次情報源
アフリカ豚熱(ASF)とは — ワクチンがなく致死率が極めて高い家畜伝染病、水際対策の要のイメージ
Photo: Mikhail Nilov / Pexels

アフリカ豚熱(ASF: African Swine Fever)は、豚とイノシシに感染し、しばしば致死率がほぼ100%に達する重大な家畜伝染病です。名前は似ていますが豚熱(CSF)とは別のウイルスによる病気で、最大の違いは『有効なワクチンが実用化されていない』ことです。人には感染せず、豚肉を食べても人体に影響はありません。日本はASFについて清浄を維持しており、海外からの侵入を防ぐ水際対策が決定的に重要です。

本記事の位置づけ(必読)
本記事はASFの概要を学習用に整理したものです。世界の発生状況・防疫措置・輸入規制・ワクチン開発の状況は刻々と変わります。実務では農林水産省・動物検疫所および各都道府県・家畜保健衛生所の最新情報を必ず確認してください。発生の疑いは通報が義務です。海外からの畜産物の持ち込みは法律で規制されています。

アフリカ豚熱とは

原因はアスファウイルス科のアフリカ豚熱ウイルスで、豚熱ウイルス(ペスチウイルス)とは系統がまったく異なります。感染豚の体液・排泄物、汚染した飼料(とくに加熱不十分な食品残さ)・器材・車両・人を介して伝播し、軟ダニ(ヒメダニ類)が媒介する地域もあります。ウイルスは環境中や食肉・加工品の中で長く生存できるため、汚染物の移動が広域伝播の原因になります。

ほぼ100%
急性型での致死率(株により幅)
ワクチンなし
実用的なワクチンが未確立
日本は清浄
未発生(侵入防止が最重要)

症状

  • 高熱、元気・食欲の消失、群れからの離脱
  • 皮膚(耳・四肢・腹部)の発赤・チアノーゼ・出血斑
  • 嘔吐・下痢(血便)、流死産
  • 突然死(明瞭な前駆症状を欠くこともある)
CSFと臨床症状での区別は困難 — 検査で鑑別
ASFとCSFは発熱・出血・高死亡など臨床像が似ており、症状だけでの区別はできません。複数頭での発熱・死亡の増加など異常があれば、いずれを疑うにせよ速やかに通報し、検査で鑑別することが重要です。

世界の拡大と日本の状況

ASFは2018年以降にアジアで急速に拡大し、各国の養豚に甚大な被害をもたらしました。日本は現時点で未発生(清浄)を維持していますが、流行地は近く、海外で製造されたソーセージ・生ハムなどの畜産物に生きたウイルスが含まれている例が、空港の検疫などで確認されています。こうした持ち込み品が国内の豚・イノシシに到達することが、最も警戒すべき侵入経路です。

対策 — 水際とバイオセキュリティ

ASFは『入れない』ことが対策の中心です。CSFのようにワクチンで守る選択肢が乏しいため、侵入を防ぐ水際対策と、万一に備えた農場バイオセキュリティが両輪になります。

  • 水際:海外からの畜産物(肉・加工品)の持ち込み禁止、検疫探知犬・検査の強化
  • 農場:人・車両・物品・野生動物の侵入防止、消毒、長靴・衣服の交換
  • 食品残さ(残飯)の給与は、適切な加熱処理など法令・基準に沿って管理
  • 早期発見のための健康観察と、異常時の即時通報

豚熱(CSF)との違い(要点)

項目アフリカ豚熱(ASF)豚熱(CSF)
原因ウイルスアスファウイルス(別系統)ペスチウイルス属(フラビウイルス科)
ワクチン実用的なワクチンは未確立あり(弱毒生・経口ワクチン)
致死率非常に高い株により幅(急性型は高い)
日本の状況未発生(清浄)。水際が最重要2018年に再発生、防疫・ワクチンで対応中
人への感染なしなし
学習のポイント
要点は『ASFはCSFと別ウイルスで人には感染しない』『致死率が極めて高くワクチンに頼れない』『日本は未発生=侵入させない水際とバイオセキュリティがすべて』『臨床症状ではCSFと区別できず検査で鑑別』の4点です。海外からの畜産物の持ち込み禁止を、関係者・旅行者に正しく伝えることが防御につながります。

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参考文献・一次情報源

  1. アフリカ豚熱(ASF)に関する情報(発生・防疫・水際)(農林水産省)
  2. 畜産物の持ち込み規制・輸入検疫に関する情報(動物検疫所)
  3. African swine fever(陸生動物衛生コード・技術情報)(WOAH(旧 OIE))

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