猫ひっかき病(バルトネラ症)とは — 猫のひっかき・咬みからうつるリンパ節炎
猫ひっかき病はバルトネラ(Bartonella henselae)による人獣共通感染症で、保菌した猫(とくに子猫)にひっかかれたり咬まれたりして人に感染します。猫は通常無症状のキャリアで、ネコノミが猫の間の伝播を担います。人では受傷部の丘疹と所属リンパ節の腫れが特徴で、多くは自然軽快しますが免疫低下者では重症化します。感染の仕組みと症状、ノミ対策を中心とした予防を、一次情報源とともに整理します。

猫ひっかき病(cat-scratch disease)は、バルトネラ(Bartonella henselae)という細菌による人獣共通感染症です。保菌した猫(とくに子猫)にひっかかれたり咬まれたりした際に、人へ感染します。猫自身は通常は無症状のキャリアで、ネコノミ(猫のノミ)が猫から猫への伝播を担います。人では受傷部の小さなできものと、近くのリンパ節の腫れが特徴で、多くは自然に軽快しますが、免疫の低下した人では重い病態に進むことがあります。
猫ひっかき病とは — 猫・ノミ・人の関係
原因菌バルトネラは、ネコノミの吸血と糞を介して猫の集団内で維持されます。感染した猫の爪や口にノミの糞(菌を含む)が付着し、それがひっかき傷・咬み傷から人の体内に入って感染が成立すると考えられています。つまり『猫が直接の病原体源』であると同時に、その背後には『ノミ』の存在があり、ノミ対策が予防の鍵になります。
人での症状
典型的には、ひっかき・咬みを受けてから数日後に受傷部に丘疹(小さなできもの)ができ、その後1〜数週間でその領域を担うリンパ節(腋窩・頸部・鼠径など)が腫れて痛みます。発熱・倦怠感・頭痛などを伴うこともあります。健康な人では多くが自然に軽快しますが、免疫が低下した人では、肝臓・脾臓の病変、眼(網膜)・神経の症状、細菌性血管腫など、重い病態に進むことがあります。
予防 — ノミ対策と接し方
- 猫のノミ駆除・予防(猫のノミ管理が、猫間伝播とヒト感染リスクの低減につながる)
- 子猫との激しい遊びでひっかき・咬みを受けないようにする
- ひっかかれ・咬まれたら直ちに流水と石けんで洗浄する
- 猫の爪のケア、室内・寝具のノミ対策(環境中のノミ駆除)
- 免疫が低下している人は、子猫との接触やひっかき・咬みにとくに注意
獣医療現場での視点
猫は通常無症状のため、診療では『猫の治療対象』というより『飼い主のノミ対策と安全な接し方を支援する』視点が中心になります。とくに子猫を迎える飼い主や、免疫が低下した同居家族がいる場合に、ノミ予防の徹底と受傷時の対応を伝えることが、現場でできる予防の核心です。
ノミ・マダニ対策や人獣共通感染症の啓発は、予防医療の日常そのものです。予防医療や飼い主教育に力を入れる職場を探すなら、獣医求人ポストで求人を比較できます。
参考文献・一次情報源
- 動物由来感染症(猫ひっかき病・バルトネラ症)に関する情報(厚生労働省)
- 猫ひっかき病(Bartonella henselae)に関する情報(国立健康危機管理研究機構(旧・国立感染症研究所))
- Bartonella Infection(Cat-Scratch Disease)(CDC)
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