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感染症🐈
感染症🦠 感染症・公衆衛生2026-06-09・約6分で読めます

パスツレラ症と犬猫 — 咬掻傷からうつる最も身近な人獣共通感染症

パスツレラ症はパスツレラ(Pasteurella multocida など)による人獣共通感染症で、犬猫の口腔・上気道に高率に常在します。咬傷・掻傷や濃厚接触で人に感染し、受傷後きわめて速やかに進行する蜂窩織炎が特徴です。とくに猫咬傷は重症化しやすく、高齢者・免疫低下者では呼吸器感染や全身性感染のリスクもあります。感染経路、人の症状、咬傷時の対応と予防を、一次情報源を示しながら整理します。

文:獣医求人ポスト編集部公開 2026-06-09
目次
  1. パスツレラ症とは
  2. 感染経路
  3. 人での症状
  4. 予防と対応
  5. 獣医療現場での視点
  6. 参考文献・一次情報源
パスツレラ症と犬猫 — 咬掻傷からうつる最も身近な人獣共通感染症のイメージ
Photo: muhammed diler / Pexels

パスツレラ症は、パスツレラ(Pasteurella multocida など)による人獣共通感染症で、犬猫の口腔・上気道にごく普通に常在する菌が原因です。猫ではほぼ全頭、犬でも高率に保菌しているとされ、咬傷・掻傷や、口移し・キスといった濃厚接触を介して人に感染します。最大の特徴は、受傷後きわめて速やかに(数時間単位で)強い炎症・化膿が進む点です。動物は通常無症状で、ペットを介した感染症のなかでも最も身近なもののひとつです。

本記事の位置づけ(必読)
本記事はパスツレラ症の概要を学習用に整理したものです。診断・抗菌薬の選択や用量、咬傷の処置方針は最新のガイドライン・添付文書や医療機関の判断に従ってください。咬傷・掻傷後に急速な腫れ・痛み・発赤が出た場合は速やかに受診を。

パスツレラ症とは

原因菌は犬猫の口腔常在菌であり、動物にとっては多くの場合『悪さをしない同居菌』です。しかし咬傷・掻傷を通じてヒトの軟部組織に入ると、急速に増殖して強い炎症を起こします。健康な人でも局所の感染を起こし、基礎疾患のある人では重症化しうる点に注意が必要です。

犬猫の常在菌
口腔・上気道に高率に保菌
数時間で進行
受傷後の急速な蜂窩織炎が特徴
猫咬傷に注意
深い創で重症化しやすい

感染経路

  • 犬猫による咬傷・掻傷(とくに猫咬傷は細く深く、菌が深部に入りやすい)
  • 口移し・キス・食器の共有などの濃厚接触(経口・経気道)
  • 既存の傷口を舐められることによる接触

人での症状

もっとも多いのは咬掻傷後の局所感染で、受傷部の強い痛み・腫れ・発赤・排膿が急速に進みます(蜂窩織炎)。深部に及ぶと腱・関節・骨の感染(化膿性関節炎・骨髄炎)に至ることもあります。また、高齢者や慢性呼吸器疾患のある人では、濃厚接触を介した気道感染(気管支炎・肺炎)として現れることがあり、まれに敗血症・髄膜炎など重篤化することもあります。

猫咬傷は『軽く見ない』
猫の咬傷は傷口が小さく見えても、細く深い創から菌が深部に達しやすく、急速に重症化します。受傷後に短時間で腫れ・痛みが強まる場合は、自己判断で様子を見ず、早めに医療機関を受診することが重要です。

予防と対応

  • 咬傷・掻傷を受けたら、直ちに流水と石けんで十分に洗浄し、必要に応じて受診
  • 口移し・キス・食器共有など過度な濃厚接触を避ける
  • 高齢者・免疫低下・慢性呼吸器疾患のある人は、とくに濃厚接触に注意
  • ペットの口腔衛生・全身の健康管理(歯周病など口腔内環境への配慮)
  • 傷のある手で動物を扱わない・扱った後の手指衛生

獣医療現場での視点

動物は無症状のことがほとんどのため、『パスツレラ症は動物の病気』というより『人が咬掻傷・濃厚接触で受ける感染』として捉え、飼い主に咬傷時の正しい対応とリスクのある接し方を伝えることが現場の役割になります。スタッフ自身も、診療中の咬傷・掻傷に対する手指衛生と早期対応を徹底します。

学習のポイント
要点は『犬猫の口腔常在菌が咬掻傷・濃厚接触で人に感染』『受傷後数時間で進む蜂窩織炎が典型、猫咬傷は重症化しやすい』『高齢・免疫低下・呼吸器疾患はハイリスク』『咬傷は洗浄+早期受診、過度な濃厚接触を避ける』です。最も身近な人獣共通感染症として、飼い主啓発の好材料になります。

身近な人獣共通感染症の正しい知識は、飼い主との信頼を支える日々の臨床力です。教育・啓発に力を入れる職場を探すなら、獣医求人ポストで求人を比較できます。

参考文献・一次情報源

  1. 動物由来感染症(パスツレラ症)に関する情報(厚生労働省)
  2. パスツレラ症(病原体・臨床)に関する情報(国立健康危機管理研究機構(旧・国立感染症研究所))

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