検査の読み方Photo: www.kaboompics.com / Pexels
血液ガス・酸塩基平衡の読み方 — pH・PaCO2・HCO3とアニオンギャップ【検査の読み方⑤・最終回】
犬猫の血液ガス・酸塩基平衡の読み方を、系統的な手順で解説します。pH(アシデミア/アルカレミア)→一次性障害(呼吸性/代謝性)→代償→アニオンギャップという読み方の流れと、動脈/静脈の違いを、一次情報源とともに整理します。

血液ガスと酸塩基平衡は、一見とっつきにくいですが、決まった順序で系統的に読めば整理できます。本稿では『pH → 一次性障害 → 代償 → アニオンギャップ』という流れで読み解く手順を示します。シリーズ最終回です。
4つの一次性障害
酸塩基の一次性障害は、代謝性(重炭酸HCO3で評価)と呼吸性(二酸化炭素分圧PaCO2で評価)の各々にアシドーシス・アルカローシスがあり、計4つに整理できます(eClinpath, Acid-base)。
| 一次性障害 | 主な変化 | 代表的な原因 |
|---|---|---|
| 代謝性アシドーシス | HCO3 低下 | 乳酸・ケトン・尿毒症・中毒・重炭酸喪失 |
| 代謝性アルカローシス | HCO3 上昇 | 嘔吐(胃酸喪失)・利尿薬 等 |
| 呼吸性アシドーシス | PaCO2 上昇 | 低換気(呼吸抑制・気道閉塞) |
| 呼吸性アルカローシス | PaCO2 低下 | 過換気(疼痛・不安・低酸素) |
系統的な読み方の手順
- pH を見る:アシデミア(酸性)かアルカレミア(アルカリ性)か
- PaCO2 と HCO3 を見て、一次性が呼吸性か代謝性かを決める
- 代償の方向と程度を評価する(過不足なら混合障害を疑う)
- 代謝性アシドーシスならアニオンギャップを計算する
- 電解質・臨床像と統合する
アニオンギャップ — 代謝性アシドーシスの鑑別
代謝性アシドーシスでは、アニオンギャップ(AG)が鑑別の助けになります。高AGアシドーシスは、酸が増えるタイプ(乳酸・ケトン・尿毒症・エチレングリコール等の中毒)で起こります。正常AGアシドーシスは、重炭酸の喪失(下痢・尿細管性アシドーシス)で起こります。
酸素化の評価(動脈血)
動脈血では、酸素分圧(PaO2)で酸素化を評価します。換気(PaCO2)と酸素化(PaO2)は別の問題として切り分けて考えるのが原則です。
シリーズのまとめ
「検査の読み方」シリーズでは、CBC・生化学・尿・凝固・血液ガスを取り上げました。共通する原則は、(1) 項目をグループ/系に分けてパターンで読む、(2) 基準値の暗記より『なぜその値になるか』を理解する、(3) 検体の質を確認し、最後は臨床像と統合する、という3点です。基準範囲はラボ・動物種・機器で異なるため、各施設の基準と症例の文脈に基づいて判断してください。
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参考文献・一次情報源
- eClinpath — Acid-base(酸塩基平衡の総合リソース)(Cornell University College of Veterinary Medicine)
- eClinpath — Chemistry / Electrolytes(電解質との統合)(eClinpath)
- ASVCP Quality Assurance and Laboratory Standards Guidelines(検査の品質保証)(American Society for Veterinary Clinical Pathology)
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