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臨床総説

Photo: Mikhail Nilov / Pexels

臨床総説2026-05-25・約8分で読めます

犬猫の心肺蘇生(CPR)— RECOVERガイドラインの要点 臨床総説

犬猫の心肺蘇生について、RECOVERガイドラインに基づく一次救命処置(BLS:胸部圧迫100〜120回/分・換気)と二次救命処置(ALS:カプノグラフィ・心電図・アドレナリン等の薬剤・除細動)、2分サイクルでの評価、心拍再開後ケア、院内の事前準備を、一次情報源を示しながら総説としてまとめました。

犬猫の心肺蘇生(CPR)— RECOVERガイドラインの要点 臨床総説のイメージ
Photo: Samson Katt / Pexels

心肺停止(CPA)への対応は、知識と『準備・反復訓練』が生存率を分ける典型的な領域です。獣医療ではRECOVER(Reassessment Campaign on Veterinary Resuscitation)が、エビデンスに基づく犬猫のCPRガイドラインを示しています。本稿でその要点を整理します。

本記事の位置づけ(必読)
本記事は獣医師・動物看護師向けの一般的な学習用総説です。圧迫・換気・薬剤の具体は体格・状況・最新版で異なります。実臨床では最新のRECOVERガイドライン本文とアルゴリズム、各薬剤の添付文書を必ず確認し、定期的なトレーニングを行ってください。

まず『準備』が勝負

  • 救急カート・吸引・酸素・気管チューブ・喉頭鏡を即時に使える状態に整備
  • 体重別の薬剤量・チューブサイズの早見表を掲示
  • 役割分担(圧迫・気道/換気・記録・薬剤)をチームで事前に決めておく
  • 定期的なシミュレーション訓練(RECOVERでも反復訓練を重視)

一次救命処置(BLS)

CPAを認識したら直ちに胸部圧迫を開始します。『迷ったら始める』が原則で、確認に時間をかけて開始が遅れることを避けます。

  1. 胸部圧迫:100〜120回/分、胸郭幅の1/3〜1/2の深さ、完全な反跳(リコイル)を確保
  2. 体位・部位:体格・胸の形に応じた圧迫部位(横臥位が基本)
  3. 中断の最小化:圧迫の中断を最小限にし、2分ごとに圧迫者を交代
  4. 気道・換気:挿管し、おおむね10回/分で過換気を避けて換気
2分サイクルで動く
圧迫は2分を1サイクルとし、サイクルの切れ目(圧迫者交代時)に短時間で心電図とパルス/リズムを確認します。評価のために圧迫を頻繁に止めないことが、冠灌流を保つうえで重要です。

二次救命処置(ALS)

  • モニタリング:心電図(リズム判定)とカプノグラフィ(ETCO2)
  • 薬剤:アドレナリンを基本に、状況に応じアトロピン等。鎮静・麻酔薬の拮抗薬の投与を検討
  • リズム別対応:心静止/無脈性電気活動(PEA)と、心室細動/無脈性VTでは対応が異なる
  • 除細動:ショック適応リズム(VF/無脈性VT)には電気的除細動
ETCO2は蘇生の質と予後の指標
カプノグラフィのETCO2は、胸部圧迫の質(心拍出の代替指標)と心拍再開(ROSC)の早期サインとして有用です。急なETCO2の上昇はROSCを示唆します。圧迫の質を客観的に評価できる数少ない指標として活用します。

リズムの判定と薬剤の使い分け

リズム除細動主な薬剤の方向性
心静止 / PEA適応なしアドレナリン(迷走神経関与でアトロピン併用を検討)
心室細動 / 無脈性VT適応あり(除細動)除細動を優先し圧迫を継続

心拍再開後(ROSC後)のケア

ROSCが得られても再停止のリスクが高く、集中的な管理が必要です。酸素化・換気の最適化(過換気・高酸素の害を避ける)、血圧・血糖・電解質・体温の管理、原因検索と治療を行います。蘇生はROSCがゴールではなく、その後の安定化までを含めて設計します。

学習のポイント
CPRは『準備+早期の良質な胸部圧迫+2分サイクル+ETCO2』が核です。アルゴリズムを暗記するだけでなく、役割分担と反復訓練で『止まったら全員が即動ける』体制を作ることが救命率を最も高めます。

参考・一次情報源

  • RECOVER Clinical Guidelines(犬猫のCPRガイドラインとアルゴリズム)
  • 獣医救急・集中治療(ECC)の標準教科書
  • 各薬剤の添付文書、体重別投与量チャート
  • VECCS等の救急関連の教育資料・トレーニング

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