検査の読み方Photo: Zakir Rushanly / Pexels
CBC(血球計算)の読み方 — 貧血・白血球・血小板を3つの系で読む【検査の読み方①】
犬猫のCBC(血球計算)の読み方を、基準値の数値ではなく解釈の原則から解説します。赤血球系(erythrogram)・白血球系(leukogram)・血小板系(thrombogram)の3つに分け、再生性/非再生性貧血、ストレス白血球像、偽性血小板減少などのパターンを、一次情報源とともに整理します。

CBC(血球計算)は、最も基本的で情報量の多い検査の一つです。読み方のコツは、ばらばらの数値を眺めるのではなく、赤血球系・白血球系・血小板系の『3つの系』に分け、それぞれをパターンとして読み、最後に臨床像と統合することです。本稿ではその原則を整理します。
CBCは『3つの系』で読む
- 赤血球系(erythrogram):赤血球数・ヘマトクリット・ヘモグロビン・赤血球指数・網状赤血球
- 白血球系(leukogram):総白血球数と、各種白血球の絶対数・割合
- 血小板系(thrombogram):血小板数・血小板指標
赤血球系 — 貧血は『再生性 / 非再生性』で分ける
貧血を認めたら、まず再生性か非再生性かを区別します。これが原因の絞り込みに直結します。骨髄の反応は網状赤血球の絶対数で評価するのが基本で、犬猫では貧血時に自動で網状赤血球が測定・算出されます。再生性貧血は出血または溶血で多く、非再生性貧血は骨髄での赤血球産生の問題(慢性疾患・腎性・骨髄疾患など)を反映します(eClinpath)。
| 分類 | 骨髄反応(網状赤血球) | 主な原因 |
|---|---|---|
| 再生性貧血 | 増加(反応あり) | 出血・溶血(IMHA 等) |
| 非再生性貧血 | 乏しい(反応に乏しい) | 慢性疾患・腎性(CKD)・骨髄疾患 |
赤血球指数(MCV・MCHC)は、赤血球の大きさ(大球性・正球性・小球性)と色(低色素・正色素)の評価に使います。多血(赤血球増加)は、脱水などによる相対的なものか、真の絶対的増加かを区別して考えます。
白血球系 — 総数ではなく『絶対数の内訳』で読む
白血球は総数だけでなく、各種(好中球・リンパ球・単球・好酸球・好塩基球)の絶対数で評価します。好中球増多は炎症やストレスで、桿状核好中球の増加(左方移動)は活動性の炎症を示唆します。好中球減少は強い消費や骨髄抑制で起こります。リンパ球はストレスで減少し、興奮(エピネフリン)で増加します。好酸球増多は寄生虫やアレルギー性疾患で見られます(eClinpath, Leukogram)。
- ストレス白血球像:好中球↑・リンパ球↓・単球↑・好酸球↓(コルチゾールの影響)
- 生理的(興奮)白血球像:エピネフリンによる。猫ではリンパ球増多が目立つことがある
- 炎症性パターン:左方移動(桿状核好中球の増加)を伴うことがある
血小板系 — 偽性減少に注意
血小板減少は、産生低下・破壊(免疫介在性など)・消費(DIC等)・分布異常に大別されます。重要なのは、採血や凝集による『偽性血小板減少』を見逃さないことです。特に猫では血小板が凝集しやすく、機器のカウントが低く出ても、塗抹でクランプ(凝集塊)を確認すると実際は十分にあることが少なくありません。
プレアナリティカル — 読み違いを防ぐ
- 凝集・クランプ(特に血小板、猫)
- 採血手技・取り扱い・抗凝固剤・測定までの時間
- 塗抹の鏡検で機器の値を裏付ける(形態・凝集・幼若細胞の確認)
次回(第2回)は生化学検査の読み方(肝・腎・蛋白・電解質)を取り上げます。検査・血液学に関心がある方は、検査ラボや内科に強い施設での経験が学習を加速させます。獣医求人ポストの検索からそうした施設を探せます。
参考文献・一次情報源
- eClinpath — Hematology(血液学の総合リソース)(Cornell University College of Veterinary Medicine)
- eClinpath — Hemogram basics(ヘモグラムの基本)(eClinpath)
- eClinpath — Leukogram(白血球系の評価)(eClinpath)
- ASVCP Quality Assurance and Laboratory Standards Guidelines(検査の品質保証)(American Society for Veterinary Clinical Pathology)
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